産業廃棄物を収集し、運搬する事業を行うためには、廃棄物の積み降ろしを行う都道府県知事の許可を受けなければなりません。
この場合、廃棄物の積載地(排出事業者の所在する地)と荷降地(処分事業者の所在する地)の双方の都道府県知事許可を申請することが必要となります。つまり同じ都道府県内で積載・荷降しをともに行う場合を除いて、複数の都道府県知事に対する許可申請が必要となります。
他方で、ただ通過するだけの都道府県において許可を得ることは必要ではありません。
ところで、中には手続が面倒だとして、無許可で収集運搬をされる業者さんもおられるように聞きますが、どの企業様もコンプライアンス(法令を守る意識)が高まっているため、無許可営業ですと、廃棄物の排出事業者から敬遠され、取引を拒否されるようになることも多いようです。また、無許可営業は、5年以下の懲役、または、1,000万円以下の罰金という、厳しい制裁が課されますので、当センターのような代行業者をご利用いただき、許可を取得されることを強くおすすめいたします。
産業廃棄物収集運搬業の許可を得るためには、次の4つの条件をみたすことが必要です。
次にこれらの条件を、詳しく見ていきましょう。
産業廃棄物の収集運搬は、産業廃棄物が飛散したり、流出したり、悪臭が発散するおそれのない方法で行う必要があります。
そのため、産業廃棄物の飛散などを防止する施設・設備を備えることが求められ、次の例のように、収集運搬するのに適した容器や車両・船舶を使用して収集運搬を行う必要があります。
産業廃棄物の種類 | 飛散・流出防止の対策例 |
汚泥、動植物性残さ、動物の死体 | 容器:ドラム缶(オープンドラム) 車両:水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車 |
廃油 | 容器:ドラム缶(クローズドドラム) 車両:タンク車 |
廃酸・廃アルカリ | 容器:ケミカルドラム(クローズドドラム)、プラスチック容器 車両:耐腐食性のタンク車 |
燃え殻、ばいじん、鉱さい | 容器:ドラム缶(オープンドラム)、フレコンバッグ 車両:水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車 |
動物の糞尿 | 容器:ドラム缶(オープンドラム) 車両:タンク車 |
その他の産業廃棄物、 汚泥(脱水後のものに限る) |
容器:フレコンバッグ 車両:ダンプ、コンテナ車等に直積みしてシート掛け |
石綿含有産業廃棄物を含む場合 | 飛散防止の対策例 |
石綿含有産業廃棄物 | 車両:ダンプ車の荷台に仕切りを設け、他の物と区別してシートがけする。破砕、変形しないよう整然と積み重ねる。 |
運搬に使用する車両は、申請者が使用権原を持っていることが必要です。
使用権原があると認められるには、自動車検査証の(1)使用者が申請者であること、または(2)所有者が申請者であること(使用者欄が空欄の場合)が必要です。
また、レンタル車両(賃貸借契約などで借りている車両)の登録は認められませんので、注意が必要です。
許可の取得を決めた後は、何よりもまず最初に講習会の予約をしましょう。
講習会は2~3か月に1度というようにあまり頻繁には開催されず、定員の枠が埋まってしまうことも多いため、早めの予約がカギとなります。
東京都の事業者の場合、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター主催の講習会を受けることが必要となります。その際の申し込みは、一般社団法人東京産業廃棄物協会にすることになります。
すでに予約が一杯の場合、講習は他の都道府県で受けても構いません(講習は全国共通です)。他の都道府県で講習を受ける場合、日程と予約状況を調べるには、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターでご確認下さい。
次に、収集運搬業の新規課程講習会を受けなければならないのは次の方です。
法人で申請する場合 | 代表者、役員(監査役を除く)、支店長など(常勤者) |
個人で申請する場合 | 申請者本人 |
収集運搬業の新規講習会は、受講料が30,400円かかり、また、2日間の日程で受講しなければならず、時間の負担が大きいため、できるだけ近くの会場で受講することがカギとなります。ですので、許可取得が決まったら、できるだけ早めにご相談下さい。
ちなみに、講習の最後には試験が行われます。当然、合格しなければ修了証はもらえませんので、予約が確保できた場合はしっかりと受講して下さい。
なお、当センターにご依頼いただけるお客様には、講習会受講の手引きを無料でお送りしております。お気軽にお申し出下さい。
経理的基礎とは、産廃の事業を的確に、かつ、継続して行うことができる財政能力があるということです。
具体的には、次の条件を充たすかどうかで判定されます。
これらの条件を充たすかは、直近3年分の決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)と納税証明書(法人の場合は法人税に関するもの、個人の場合は所得税に関するもの)を提出して示すことになります。
設立直後の法人で、1度目の決算を迎えていない法人の場合は、これらの書類を提出する必要はありませんが、別途、資産状況の報告書を作成して提出する必要があります(また、申請先の自治体によっては、収支計画書や預金の残高証明書などを要求されることがあります)。
これらの書類によって(1)を充たすことが示せた場合は、特に追加の書類なく経理的基礎があると判定されます。また、(1)を充たさなくても、(2)を充たせば、同じく経理的基礎があると判定されます。
一方、(1)も(2)も充たさない場合は、中小企業診断士、公認会計士または税理士が作成した「経理的基礎を有することの説明書」を提出する必要が出てきます。もちろん、これらの専門家に「説明書」の作成を依頼すれば費用がかかりますので、あらかじめ(1)(2)を充たすかどうかについて、当センターにご相談をいただくことをおすすめします。
なお、実際には、これらの判定基準は、自治体により微妙に異なり、また、判断がケースバイケースで行われることもありますので、経理的基礎があるかどうかを初めて申請する方が判断することは、なかなか難しく、一度、ご相談いただくことをおすすめします。
産廃収集運搬業の申請をするには、申請者個人や、申請する法人の役員、相談役、株主などが次のどのケースにも当てはまらない必要があります。
そして、その証明のために、成年被後見人や被保佐人の登記がされていないことの証明書や誓約書を提出する必要があります。