平成27年9月29日、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が行った監督指導の結果が、厚労省から公表されました。
この監督指導は、1か月100時間を超える残業があったとされる事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があったすべての事業場(2,362事業場)を対象に、平成27年4〜6月に実施されたものです。
結果は、対象事業場の62.6%にあたる1,479事業場で違法な時間外労働がなされているとして是正勧告がなされました(内訳は右のグラフ参照)。
1か月間におおむね 100 時間または発症前2〜6か月間にわたって、1か月当たりおおむね 80 時間を超える時間外労働(いわゆる「過労死ライン」)が認められる場合には、業務と脳・心臓疾患との関連性が強いとの医学的知見があるため、労災認定される確率が高まります。
このことから考えると、労災認定や従業員側からの損害賠償を請求されるリスクを抱えた事業場の割合がいかに多いかがわかります。
今回の監督指導では、同時に、(1)36協定が正しく届出・運用されているか、(2)残業代がきちんと支払われているか、(3)労働時間が適正に把握されているか、(4)長時間労働に対する医師の面接指導が正しく行われているか等の指導もされています。
この指導に対する是正が認められず、違反が重大・悪質な場合は、書類送検や企業名の公表も視野に入れるなど、長時間労働の削減に向けた積極的な対応をするとしています。