平成27年12月24日、厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(座長=岩村正彦・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、平成28年度の雇用保険料率を1.35%から1.1%に引き下げる建議を取りまとめました。
雇用情勢が改善し、失業等給付の積立金残高が過去最高水準の6兆円超であるため、保険料率を引き下げても安定的な財政運営が図れると判断されたようです。
今後、雇用保険法が改正され、失業等給付にかかる保険料率の本則を1.4%から1.2%に引き下げたうえで、28年度は弾力条項によって、従来の1.0%から0.8%まで引き下げられます。
また、雇用保険二事業分も弾力条項で0.35%から0.3%に引き下げられるとのことです。
これにより平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率は、従業員負担分が0.4%となり、他方、会社負担分が0.7%(失業等給付の保険料率0.4%+雇用保険二事業の保険料率0.3%)となります。
平成28年4月支給分の給料から、雇用保険料率が下がることになりますので、給与計算の際にはご注意ください。
具体的な計算においては、雇用保険料(失業等給付の保険料のみ)は、会社と従業員とで折半することになります。
したがって、保険料率が1.0%から0.8%へと0.2%下がれば、従業員はその半分の0.1%負担が軽くなります。年収450万円の方であれば、年間4,500円の負担減となる計算です。
上記の内容を反映した平成28年度の雇用保険料率を表にまとめると、次のとおりとなります(平成28年3月29日に国会で成立した雇用保険法改正により確定した内容を記載)。
- |
①従業員負担分 |
②会社負担分 |
|
|
①+② |
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失業等給付の |
雇用保険二事業 |
||||
一般の事業 |
0.4% |
0.7% |
0.4% |
0.3% |
1.1% |
農林水産 |
0.5% |
0.8% |
0.5% |
0.3% |
1.3% |
建設の事業 |
0.5% |
0.9% |
0.5% |
0.4% |
1.4% |