家族を介護する必要から離職することを介護離職といいます。
高齢化が進むなか、何らかの介護を必要とする人は増加しています。
親の介護が必要となる世代は、年齢的に会社においても管理職ポストに就いていることが多いです。その会社に貢献している人物が介護によって離職を余儀なくされることは、本人にとってはもちろん、会社にとっても大きな痛手です。
介護離職には、次の特徴があるため、問題になることが多いと言われています。
介護問題は、いつ誰に起きてもおかしくない出来事であるにもかかわらず、殆どの人・会社は、他人事だと感じており準備が不十分であること。
世間では介護休業への寛容な見方が未だ浸透しておらず、誰にも相談できないうちに、介護者が精神的にも肉体的にも追い込まれてしまうこと。
一度離職してしまうと高齢や仕事のブランクのため、介護が終わった後においてもなお、社会復帰が厳しい実態があること。
このように問題が多い介護離職ですが、問題を抑えるために法律によって次の対策が設けられています。
すなわち、法律上は、介護を必要とする家族の1つの要介護状態ごとに通算93日分の介護休業が認められています。この休業している期間は、その方の賃金の約40%の介護休業給付金を受け取ることができます。
介護休業は、より利用しやすく3回までの分割取得ができるように改正され、平成29年1月1日の施行が予定されています。
また、1年度あたり原則5日間の介護休暇も用意されており、ごく短期の休暇を取ることもできます。
このような法律上の対応策のもと、会社が起こす行動を見ていきます。
社内全体では、まず、上で述べた法律上の対応策を就業規則などで社内ルール化することです。
次に、法定の制度に加えて、無給の介護休暇を上乗せで取得する、また、年次有給休暇を半日単位や時間単位で取得できるようにし、介護に困った従業員の要望に対する受け皿をつくることが大切です。
テレワークを導入して、家族を介護しながらも、自宅から移動せずに業務ができる体制を設けるのもよいでしょう。
個人レベルでは、「最近困ったことは?」と上長の面談を通じて、また、相談窓口を設けるなど、介護の悩みを必要以上に従業員個人に抱え込ませず、相談できる雰囲気づくりをすることが有効です。