労災保険による給付や雇用保険による失業等給付に関する処分(例えば、不支給決定)に不服がある場合、その決定を受けた人は、処分に不服があると申し立てることができます。
この不服申立ての仕組みを「審査請求」制度といいます。
審査請求をする窓口は、各都道府県の労働局に設置された審査官(労働者災害補償保険審査官または雇用保険審査官)です。
この不服申立てをするには、処分を受けた人が、処分があったことを知った日の翌日から60日以内に審査請求書を労働局に提出する必要がありました。
また、審査請求に対する決定がなされた場合、さらに争うには「再審査請求」を行う必要がありました。
この4月の法改正によって、上記の審査請求ができる期間が、60日以内から変更になり、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に延長されました。
また、審査請求に対して出された決定をさらに争う場合、今までのように必ずしも再審査請求を経なくても、すぐに別の国家機関である地方裁判所に処分の取消訴訟を起こすことができるようになりました。
これにより、労働局などの行政庁とは違った観点での裁判所の判断を審査請求後すぐに出してもらえるように権利が拡充されました。
実際に企業経営をする中で、この審査請求を行う機会はそれほど多いわけではありません。
しかし、例えば、業務外の事故のはずが労災事故と決定された場合、また、やむを得ない事由により給付金の申請が遅れたため不支給決定となった場合など困ったケースで、不服申立てのチャンスが残されていることを記憶に留めておき対処できるようにすることは、会社・従業員双方のセーフティネットになります。