給与は金銭で支給されるのが一般的ですが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券など現物で支給することがあります。
この現物で支給される給与を社会保険料の計算上「現物給与」といいます。
現物給与が支給された場合は、その現物の価値を通貨に換算し、金銭で支払われる給与に合算したうえ、社会保険料を計算する基礎となる標準報酬月額が決定されます。
この現物給与の内容が、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額を元に通貨に換算します。
また、現物給与の内容が食事や住宅以外の自社製品等で支給される場合は、原則として時価を基準に換算します。
平成28年4月1日に、この食事や住宅による現物給与の価額が、厚生労働省告示により下表のとおり改定されました(赤字が改定箇所。関東のみ記載。関東以外の改訂内容についてはこちらを参照してください)。
全体的な傾向としては、物価の上昇を反映して、現物給与の価額は増加しています。
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食事で支払われる報酬等 |
住宅で支払われる報酬等 |
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1人1カ月 |
1人1日 |
1人1日当 |
1人1日当 |
1人1日当 |
1人1カ月当たりの |
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茨城 |
18,600円 |
620円 |
160円 |
220円 |
240円 |
1,270円 |
栃木 |
18,600円 |
620円 |
160円 |
220円 |
240円 |
1,310円 |
群馬 |
18,600円 |
620円 |
160円 |
220円 |
240円 |
1,170円 |
埼玉 |
18,900円 |
630円 |
160円 |
220円 |
250円 |
1,750円 |
千葉 |
18,600円 |
620円 |
160円 |
220円 |
240円 |
1,700円 |
東京 |
19,500円 |
650円 |
160円 |
230円 |
260円 |
2,590円 |
神奈川 |
19,200円 |
640円 |
160円 |
220円 |
260円 |
2,070円 |
この現物給与価額の改定は、社会保険料を計算する上で、固定的賃金の変動に当たるため、被保険者報酬月額変更届(月変)の提出が必要な従業員が生じる可能性があります。
また、社宅制度を採用し、従業員に家賃等の一定割合を負担させている場合は、現物給与の価額から従業員負担額を差し引いた額が現物給与価額となり、今回の改定で社会保険料が増加するケースがあるため、企業によっては、従業員負担額の再検討が必要となるでしょう。