社会保険に加入している事業所は、毎年1回、7月1日から7月10日までの間に「算定基礎届」を年金事務所に提出し、社会保険料の計算の基になる報酬月額を申告する必要があります。
この申告をもとに、その年の9月から適用される社会保険料が決められます(定時決定)。
このように毎年1回行われる社会保険料の決定手続を俗に「算定」と呼びます。
「算定」では、年金事務所に赴き、算定基礎届を提出して完了となることが殆どです。
しかし、4、5年に一度の頻度で、算定基礎届を提出するだけでは終わらず、必要な資料とともに指定された日時に管轄の年金事務所に出向くように求められることがあります。
これが定時決定時調査(算定時調査)です。
定時決定時調査の目的は、算定基礎届を提出させることに加え、各種の持参資料を調査することにより、事業所が、(1)社会保険に正しく加入しているか(加入漏れがないかのチェック)、(2)社会保険料の計算の基になる報酬の月額を正しく申告しているかのチェック、(3)社会保険の加入日が正しいかのチェックをすることにあります。
まず、指定された日時に年金事務所に行くことができるかスケジュールを確認します。
どうしても都合がつかない場合は、電話等で連絡することにより日程を変更してもらうことができますので、年金事務所に相談をしてみましょう。
もし、この調査を無視したりすると、会社内に調査に入られ、最悪の場合は懲役や罰金といった刑罰が課されるおそれがありますので、誠実に対応します。
スケジュールを押さえたら、次に持参書類を準備します。
準備する書類の具体的な内容は、概ね次のとおりですが、会社によって追加書類が求められることもあります。
(定時決定時調査の持参書類)
算定基礎届
厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届
算定基礎届総括表
算定基礎届総括表附表(雇用に関する調査票)
賃金台帳、出勤簿等
源泉所得税領収証書
提出済みの適用関係諸届(資格取得届、資格喪失届、月額変更届等)の決定通知書
労働者名簿
雇用契約書
事業主印
※上記のうち⑤〜⑦の書類は、当年の1月以降分など期間を限定して持参を求められることが一般的です。
持参書類のひとつである⑥源泉所得税領収証書には、従業員の人数や支払った賃金総額が記載されていますので、その記載を⑤賃金台帳、出勤簿や⑧労働者名簿などと照らし合わせて、本来は加入義務があるのに社会保険に未加入の従業員がいないか(加入漏れがないか)をチェックされます。
また、⑤賃金台帳から、社会保険料の計算の基になる報酬が正しく計算されているか、⑦提出済みの適用関係諸届の決定通知書や⑨雇用契約書から、社会保険の加入日が正しいかがチェックされます。
社会保険への加入漏れが発覚した場合は、過去2年間にさかのぼって社会保険への加入手続をとるよう指導され、社会保険料を過去分を含めて納付するように求められることもあります。
未加入の状況によっては数百万円以上の追徴額になり、会社の資金に重大な影響を及ぼします。
このような影響のある調査が、どの会社にも4、5年に一度は必ず巡ってきますので、平時から、前述の持参書類⑤〜⑨が整っているかを点検・整備するとともに、社会保険の未加入者がいないかどうか、加入条件を確認しながら運営することが大切です。