社会保険(健康保険と厚生年金保険)は、現在、フルタイムで働く正社員だけでなく、1日または1週の所定労働時間および1月の所定労働日数がおおむね4分の3以上のパート・アルバイト等も加入する必要があります。
平成28年10月1日から、大きく二つの点で社会保険の加入基準が変わります。
まず、上記のいわゆる4分の3基準が変わります。
正社員など、通常の労働者に比べて、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が4分の3以上」であれば社会保険への加入が必要になります。
従来の1日単位の基準がなくなり、また、「おおむね」という表現がなくなったことで基準が明確になりました(以下、この基準を「新4分の3基準」といいます)。
もう一つは、比較的人数規模の大きい事業所において、上記の新4分の3基準に満たない労働者であっても社会保険に加入する必要が生じるケースがあり(社会保険の適用拡大)、新4分の3基準とは別に、二段階で社会保険の加入の要否を検討することが必要になります。
10月からの社会保険の適用拡大に当てはまるかは、次の5つの要件に当てはまるかを見て判断します。
(要件①)
パート・アルバイトを除いた厚生年金保険の被保険者数が1年のうち6か月以上にわたり、500人を超えることが見込まれること。
(要件②)
対象者の週の所定労働時間が20時間以上であること。
(要件③)
雇用期間が1年以上見込まれること。
(要件④)
賃金の月額が8.8万円以上であること
(要件⑤)
学生でないこと。
以上のように、今回の適用拡大は、ある程度の規模の企業に限られますが、ニュースになり一般の方の耳目を集めている内容のため、500人以下の人数規模の企業であっても、従業員からの質問に備え、今回の適用拡大に該当するのか否か説明ができるよう準備した方がよいでしょう。
また、500人超の企業は、社会保険料の増加が見込まれますので、資金繰りとともに、多量に発生すると予想される社会保険への新規加入の事務手続の対策も準備しておくことが望まれます。