日本商工会議所が平成27年8月に実施した「人手不足への対応に関する調査」によると、調査対象となった中小企業のうち、人員が不足していると回答した企業は50.2%にのぼり、優秀な人材の確保は、どの企業にとっても大きな経営課題であることが分かります。
しかし、人口減少社会に突入した日本国内に目を向ける限り、人手不足の根本的な解消方法は見えてきません。
そこで、大企業のみならず中小企業も、高度な職能を持つ外国人の採用を視野に入れる必要があります。
外国人に就労してもらうためには、その外国人が就労ビザを取得する必要がありますが、高度な職能を持つ外国人については、一定の基準を満たせば、優遇された内容の就労ビザを取得できます。
それが「高度人材ポイント制」です。
この高度人材ポイント制の基準を満たし、「高度専門職1号」という在留資格を取得すると次の7つのメリットがあります。
(高度専門職1号のメリット)
在留期間「5年」の付与
複合的な在留活動の許容
配偶者の就労
親の帯同
永住許可要件の緩和
家事使用人の帯同
入国・在留手続の優先処理
以上のうち、人材不足を解消する意味で特に有意義なのは、上記1と2ではないでしょうか。
上記1の在留期間「5年」の付与は、在留資格の中でも最長の在留期間ですので、長期の人員計画が立てやすくなります。
また、上記2の複合的な在留活動の許容についても、活動内容に制限のある他の在留資格に比べて優遇されており、人手不足の解消に有益です。
たとえば、技術者として製品開発業務に携わる一方、資格外活動の許可を得なくてもセールス・プロモーション等の企画立案業務を行えるなど、複合的な就労活動が認められるのは、高度専門職の大きなメリットといえます。
高度人材ポイント制の対象になるには、学術・研究、専門技術、経営・管理を内容とする職務に就く前提で、外国人自身の学歴、職歴、年収といった項目ごとにポイントを計算し、その合計が70点以上に達し、高度人材と認められるかを確認します。
70点を超えていれば、その「ポイント計算書」を添付して高度専門職1号の在留資格認定証明書の交付を入国管理局に申請します。
無事に高度専門職1号の在留資格認定証明書が交付されたら、その証明書を添えて、本国の在外公館にビザの申請をし、ビザの発給を受けられれば、上陸し無事就労できます。
高度専門職1号の在留資格を得て、3年以上就労した場合は、「高度専門職2号」の在留資格を得ることができます。
2号になると、在留期限が無期限になり、また、就労資格のほぼ全ての活動が許容されるなどさらなるメリットがあります。