昨年9月に改正された労働者派遣法では、派遣先の「事業所」単位と派遣労働者「個人」単位の2つの派遣可能期間が定められました。
この期間制限により、派遣労働者「個人」については、課など同じ組織に継続して就業する限り、派遣できるのは3年間が限度になり、3年経過すれば他の組織(課)に配転するか、派遣を取り止めるなど対応が必要になります。
また、「事業所」ごとの期間制限により、同じ事業所が原則として3年以上派遣労働者を受け入れ続けることはできなくなりました。
もっとも、この派遣の期間制限には例外があり、労働者派遣が利用された日から3年を経過する日の1か月前の日までの間(すなわち2年11月間)に、派遣先の事業所の過半数労働組合または過半数代表者(以下、「過半数代表」といいます。)から意見を聴取すれば、派遣可能期間を3年間延長することができます。
また、3年ごとに意見聴取の手続をとれば、延長回数に制限はなく、継続して労働者派遣を受け入れることができます。
意見聴取の際に、過半数代表が反対したとしても、派遣先から、派遣契約の継続が必要な理由を誠実に説明すれば足り、同意を得るまでの必要はありません。
改正派遣法では、この過半数代表の選任が適法になされていない場合、派遣可能期間の3年の延長がなされていない取扱いとなります。
派遣可能期間を超えると、労働契約申込みなし制度(労働者派遣法40条の6第1項)が適用され、派遣先が派遣労働者を直接雇い入れなくてはならないリスクがあるため、注意が必要です。
過半数代表は、(1)管理監督者(労働基準法41条2号)でないこと、(2)派遣可能期間の延長に関する意見聴取をされる者を選ぶことを明らかにして、投票、挙手等の民主的な方法により選出することという二つの要件を満たす必要があります。
過半数代表の母数には、契約社員やアルバイト・パート等の雇用形態いかんにかかわらず直接雇用している従業員が含まれます。
事業所の全従業員に対して、何のために選出するのか(派遣可能期間の延長のため)を明らかにして、改正派遣法が施行された平成27年9月30日の3年後である平成30年8月29日までを目安に、正しく過半数代表を選任したいところです。