最低賃金制度とは、法律によって決められた金額以上の賃金(時間額)を従業員に支払うことを事業主に義務づけるものです。
従業員の労働条件の改善や生活の安定はもとより、労働力の質の向上や事業の公正な競争を通じて、経済が健全に発展することを目的としています。
毎年この時期になると、地方最低賃金審議会の答申によって、都道府県ごとの最低賃金が改定されます。平成28年度の東京圏各都県の最低賃金は、次の表のとおりです。
都県名 |
最低賃金時間額 |
発効年月日(平成28年) |
---|---|---|
東京 |
932円 |
10月1日 |
埼玉 |
845円 |
10月1日 |
埼玉 |
842円 |
10月1日 |
神奈川 |
930円 |
10月1日 |
会社は、この最低賃金以上の額を従業員に支払う必要があり、違反には50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
したがって、間違いなく最低賃金以上を支払っているかを確かめるために、以下、(1)最低賃金額を上回っているかのチェック方法と、(2)最低賃金の計算の対象とならない賃金の内容を確認していきましょう。
最低賃金額を上回っているかの判断方法は、時給制か月給制かなど、給与形態によって異なります。
時間給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
日給の場合
日給 ÷ 1日の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
月給の場合
月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
上記1.2.3.が組み合わされている場合
(例)基本給が日給で、諸手当(役職手当など)が月給の場合は、
基本給(日給)→2.の計算で時間額を出す。
諸手当(月給)→3.の計算で時間額を出す。
ⅰ.とⅱ.を合計した額 ≧ 最低賃金額(時間額)
最低賃金の計算対象になるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。次の賃金は対象から除いて最低賃金と比較します。
臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
精皆勤手当、通勤手当および家族手当