人材を採用するにあたり、新規学校卒業者の採用(新卒採用)ではなく、中途採用をメインに行なう中小企業が大半を占めます。
これは一般に、新卒採用は、金銭的・時間的コストが中途採用に比べて相当高いことが理由と考えられます。
しかも、かつてと異なり、インターネットを通じて求人企業の情報収集が格段に容易に行えるようになり、また、ブラック企業問題が声高に叫ばれている昨今では、学生の企業を見る目も、かつてなく厳しくなっています。
そのため、中小企業が新卒者を採用するハードルは高いといえます。
しかし、中小企業も新卒採用から目を背けるべきではありません。
それは新卒採用の活動を行うこと自体が、学生にとって自社が正社員として働き続けたい会社であるかを見つめ直すことにつながり、自社の競争力を精錬し、経営力を強化するよい機会になるからです。
中小企業も新卒採用を視野に入れた方がよいことを前提として、次に、新卒採用と中途採用とではどのような違いがあるのか、両者の特徴とメリット・デメリットを次表で確認していきましょう。
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新卒採用 |
中途採用 | |
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採用の目的 |
将来の中核的人材の確保 |
即戦力の確保 | |
雇用形態 |
正社員が一般的 |
正社員、契約社員、パート等 | |
採用手続 |
採用選考の着眼点 |
適性と能力 |
適性と能力+過去の実績 |
求人申込みから |
長期間(数か月〜1年以上) |
短期間(数週間) | |
入社時期 |
4月1日(一斉) |
随時(個別) | |
説明会 |
開催することが多い |
開催することは少ない | |
メリット |
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デメリット |
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このように中途採用に比べて、新卒採用は、採用手続上の時間がかかり、工程も嵩みますが、企業を中長期的に支える基幹的な労働力を確保するためには欠かせない方法です。
それでは、中小企業が新卒採用を行うにはどのように動けばよいか、2017年大卒予定者の新卒採用スケジュールを例に見てみましょう。
下図スケジュールが示すとおり、大卒予定者は、大学4年生の秋には内定を得ている人が多く(株式会社リクルートキャリア調査では、201年8月1日時点で就職内定率は79.3%)、中小企業は、その時点でまだ内定が決まっていない人に対する採用活動をすることになります。
一見すると、残り2割の余った人材と思われるかもしれませんが、就職活動を繰り返すことで磨かれた価値観を持った学生であり、本当に自分のやりたい仕事に就くために大企業への就職から転向して、中小企業を希望するケースも多くあります。
そのような優秀な人材に出会う機会を逃さないため、中小企業は、秋以降の採用を目指して、粘り強く新卒採用の動きを続けることが肝腎です。