テレワークとは、「tele=遠距離の」と「work=働く」を組み合わせた世界共通の造語で、オフィスから離れた場所で仕事をする勤務形態のことをいいます。
テレワークには、より会社の管理が行き届きやすい順に、サテライトオフィス勤務、在宅勤務、モバイルワークの3つの種類があります。技術職、事務職、営業職など幅広い職種に適用することができます。
テレワークを導入する企業は、平成27年末で、大企業・中小企業合わせて約16.2%であり(総務省「平成27年通信利用動向調査」より)、特に中小企業の導入率は低いと言われています。
このように現時点で少数派のテレワークの導入を、中小企業が推し進めることのメリットは何でしょうか?
これには企業側と働き手側の双方にメリットがあります。
まず、企業側としては、(1)優秀な人材の採用と流出防止につながる、(2)オフィスコストや通勤手当の削減、(3)自然災害時のBCP対策になる等、複数のメリットがあります。
また、意外と思われるかもしれませんが、テレワークにより、オフィス内のような来客や鳴り響く電話がない集中できる環境での仕事は、(4)生産性の向上につながることも大きなメリットです。
次に、働き手側としては、(1)通勤時間が削減され、時間を有効活用できる、(2)育児や介護がしやすくなりワーク・ライフ・バランスの向上に繋がるメリットがあります。
一般にテレワークの導入には、情報通信システム、就業環境、労務管理の3つの要素が必要と言われています。
情報通信システムとしては、まず、リモートアクセスのシステムを導入し、職場内にあるパソコン等の機器を自宅から操作できるようにすることが必要です。
また、テレワークにおいても、報告・連絡・相談は常に発生するため、オフィス勤務に近いコミュニケーション環境を確保する必要があります。
そのためにはSkypeやLINE等のチャット、テレビ会議システム、メール等を利用または併用できる環境を整える必要があります。
さらには、業務上の秘密を取扱うことがあるため、いかに技術上のセキュリティを確保できるかも重要になります。
自宅は、オフィスのように必ずしもデスクワークをしやすい環境があるとは限らないため、家族の理解を求め、仕事用の居室を確保する等、家族に邪魔されにくい環境を造り出すことが求められます。
また、自宅では、オフィスのように仕事用の椅子・机があるとは限らないため、姿勢が悪くなりやすく、腰痛・肩凝りを引き起こしやすいといえます。
そのため、オフィス仕様の什器を自宅に準備することを推奨するのも有益です。
労務管理面では、人事評価のやり方を今までとは変える必要があります。
職務遂行の過程が見えにくくなるためプロセス評価は難しく、例えば、成果主義型の評価方法にウェイトを置くことが有効でしょう。
従来とは異なる労務管理が必要になるため、別途ルールブックとして規程(テレワーク勤務規程)を整えることも望まれます。
また、通勤手当を支給している会社は、テレワーク勤務の日数分は通勤手当を支給しない、または光熱費に振り替える等、不要なコスト削減にもつながります。
日本人には、新たにテレワークを導入することに意識上のハードルが見られることが多くありますが、テレワーク機器等購入費等の1/2または3/4を助成金(職場意識改善助成金(テレワークコース))で賄える等、導入を支援する仕組みも数多くあります。
まずは限られた対象者で週に1回の試験的なテレワーク導入を目指し、次第に社員全体に広げられるよう取り組んでみてはいかがでしょうか。