技能実習制度とは、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本に一定期間(最長5年間)受け入れ、OJTを通じて技能を開発途上国等に移転する制度で、1993年に創設されました。
実際の流れとしては、開発途上国等(送出し国)から日本に入国した後、最初に、日本での生活一般に関する知識や入管法、労働基準法の法令等について、原則2か月間の講習を受けることになります。
その後、雇用関係を結んだ日本の受入企業において、実習としての業務を最長5年間実施し、技能を身につけてもらうことになります。
この実習期間は、雇用契約に基づき業務を実施してもらうのですから、当然ながら、企業には賃金を支払う義務が発生します。
この制度の対象になる職種は、送出し国のニーズがあり、公的な技能評価制度が整備されている、次の枠内の74職種133作業(平成28年4月1日現在)です。
農業関係(2職種6作業)
漁業関係(2職種9作業)
建設関係(21職種31作業)
食品製造関係(9職種14作業)
繊維・衣服関係(13職種22作業)
機械・金属関係(15職種27作業)
その他(12職種24作業)
これらの職種のうち、受入れ人数が多いのは、⑥機械・金属関係、⑤繊維・衣服関係、③建設関係の順となっており、平成27年末の技能実習生の数は、192,655人にのぼります。
技能実習制度を利用するには、平成28年改正法に基づいて新設される「外国人技能実習機構」に対して、技能実習生の受入企業になることの届出をし、また、技能実習計画について認定を受けなくてはなりません。
この技能実習生を受け入れるための手続の流れは、受入機関が、①企業単独型、②団体監理型のいずれのタイプに当てはまるかにより異なりますが、実際には団体監理型のタイプで行われることが大多数です(平成27年末で96.1%(法務省データ))。
(技能実習制度の受入機関別のタイプ)
※図は、法務省入国管理局資料から引用。
日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する場合の流れ
非営利の監理団体(事業協同組合、商工会等)が技能実習生を受入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する場合の流れ
報道で度々取り上げられるように、技能実習制度は、パスポートを取り上げ、低賃金で外国人を奴隷のように扱うという陰の側面があるのも事実です。
しかし、制度の趣旨を正しく理解して運用すれば、労働力不足に喘ぐ日本の企業にソフトパワーの充実を図ることができ、かつ、技能移転という国際貢献を通じて企業の国際化にも資する有益な仕組みです。
技能実習制度に興味を持たれた場合は、技能実習生の受入れまでにハードルがいくつもありますので、このページ末尾の電話番号または問合せフォームからお問合せください。